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2023年8月18日 金曜日
ガムでむし歯予防
皆さん、こんばんは。
歯科衛生士の山口です。
今回はガムを咬むことによるむし歯予防についてお話します。
近年ではむし歯予防を目的としたガムが販売されていますが、それぞれにはどのような効果があるのでしょう。
ガムの効果について知るには、まずむし歯の成り立ちを知っておくことが大切です。
歯垢の中のむし歯の原因菌は食べ物に含まれる砂糖を栄養にして酸を作ります。
歯は酸で溶けてしまうのですが、唾液の力で絶えず修復もされています。
溶けても修復されれば歯を健康に保つことができますが、歯を磨かないで歯垢がたまり続けると、溶ける⇄修復する、のバランスが崩れて歯は溶け続けて虫歯になってしまいます。
むし歯予防のためには虫歯の原因菌を減らすこと、歯の修復能力を上げることが必要になります。
・ポスカガム
元々『ポスカガム』というものがあり、リン酸化オリゴ糖カルシウムという、むし歯の原因となる酸を作らない食品素材で、日本歯科医師会推薦、(財)日本学校保健会推薦、(社)日本学校歯科医会推薦商品で”特定保健用食品(トクホ)”の認定も受けています。
世界7カ国で特許を取得している、北海道産じゃがいも由来の唾液に溶けやすいカルシウム素材です。
このポスカガムに『+緑茶エキス(フッ素)』が含まれているのが『ポスカFガム』になります。
食事やお菓子を食べるとお口の中は酸性に傾き、歯からカルシウムが溶け出しますが、この状態が長く続けば虫歯になります。
歯から溶け出したカルシウムは『唾液に溶けたカルシウム』からしか補給できませんが、ポスカは唾液に溶けやすい『水溶性のカルシウム』なので、すばやく中性に近づけます。
ポスカガムを習慣的に咬んでいれば『唾液に溶けたカルシウム』が効率的に歯に届くため初期虫歯を修復する効果があります。
健康な歯と同じ構造を持った結晶が復元する、再結晶化(再石灰化よりさらに修復効果がある)が世界初で実証されています。
緑茶エキスは、ポリフェノールを低減してフッ素が唾液に溶けやすいように工夫された素材ですが、キシリトールも含まれているので虫歯になる酸を作りません。
・キシリトールガム
キシリトールの主な原料は白樺や樫などの樹木です。
プラムやイチゴ、バナナ、ラズベリーなどの果実にも多く含まれています。
キシリトールは砂糖と同じくらいの甘さがあるのに(カロリーは砂糖の約75%)、砂糖と異なり、虫歯の原因となる酸の材料にならず、細菌に酸を作らせません。
虫歯の原因菌に対して活動を抑える作用も認められていて、歯垢独特のネバネバもさらっとしたものに変えて歯ブラシで落としやすくなります。
虫歯の原因菌が砂糖を取り込めなくなる効果もあります。
さらに、キシリトールの甘さで唾液がたくさんでることで、唾液中のカルシウムを安定させて、歯にもう一度運ぶ働き(⁼歯の再石灰化)が促進されるので歯を丈夫にする効果もあります。
・リカルデントガム
リカルデントは歯の表面のエナメル質の主成分であるリン酸カルシウムとタンパク質の複合体で、成分は牛乳に由来しています。
高濃度のカルシウムとリン酸を歯のエナメル質の内側に効率よく届けることで、溶けた歯を修復しますが、『乳製品を多く摂取する人は歯も丈夫である』ことに着目し開発されました。
リカルデントにはむし歯の始まりを抑える脱灰抑制効果や歯のエナメル質にミネラルを戻す再石灰効果(キシリトールの2倍の効果があるといわれてます)、歯を溶けにくくする耐酸性効果があると言われています。
牛乳由来の成分なので、アレルギーのある方は摂取に注意が必要です。
ガムは長時間口の中で咬んでいられるので、虫歯になりやすい場所とも接触し、歯に物質を送り届ける手段としては最適とも言われています。
また、咬むことで唾液がたくさん出るということもガムの利点と言えるでしょう。
ガムは味がなくなっても5〜10分間咬み続けてください。
持続的に摂って初めて効果が出るので、1日2〜3回咬むことを習慣にすると良いでしょう。
ここで注意が必要なのは、ガムはあくまでも補助的なものでガムだけで虫歯予防は不可能であるということです。
正しい歯磨きやフッ素の使用、規則正しい食生活や歯科医院での定期健診やPMTC(歯のクリーニング)などに取って代わるものではなく、これらを補足することでより効果を高めるものであることを忘れずにいてください。
また、咬みしめや歯ぎしりの悪習癖がある方がガムをたくさん咬むと、さらに咬む力が強くなってしまうことがあるのでご注意ください。
2021年7月14日Facebookより
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